12月22日の毎日新聞書評面「昨日読んだ文庫」欄に、『宇宙創成』(サイモン・シン、新潮文庫)について書きました。ビッグバン理論の誕生を巡る科学の歴史と人間ドラマ。来年は、この延長戦上にあるテーマのノンフィクションを書き始めたく、最近はその準備を進めています。
久々に宇宙論や物理学を自分なりに学んでみると、その壮大さに圧倒され、いろんなことが気になってきます。最近では、イタリアの理論物理学者であるカルロ・ロヴェッリの『時間は存在しない』『すごい物理学講義』というのを立て続けに読んでいて、両方ともとても面白かったです(後者はまだ途中ですが)。物理学を構築してきた先人たちへの深い敬意と、宇宙やこの世界を形成する根本原理への畏敬の念みたいなものがあふれていて、かつ文章が詩的で、その姿勢に惹かれます。
大学1年のとき、物理学を真剣にやりたいと思いつつも、相対論や量子論の講義が全く理解できなくて割とすぐにあきらめてしまったのですが、いま改めてしっかりと色々読んでみると、真面目にやればきっともっと理解できたような気がして、もったいなかったなあと感じます。でも、まあ当時、すぐにあきらめたというのは、結局そのくらいの気持ちしかなかったんだろうなとも思います。
その中途半端に終わった物理学への思いを、今後ノンフィクションという形で、自分なりに完全燃焼させたいと思っています。完成まで何年かかるかわからないけれど…。