湖上の聖域・竹生島、風景のなかの物語を見つめる。 写真家・津田直×ルポライター・近藤雄生 『おとなのぶら旅』[関西版]<Lmaga Mook> (2012年4月)
「ようやく着いた、竹生島ってここだったのかっていう感じがするなあ……。一番ここが、湖といい関係にある場所に思えます。たとえれば、さっきまでヘビの体の中を歩いていたのが、その口からいま、しゅーっと抜け出たような感覚というか。船の、へさきにいる感じがしませんか。まるでこの島が湖の中を進んでいってるみたいな錯覚が」/ぼくは大きく頷いた。竹生島がまさに命を吹き込まれ、この湖の主として、音を立てて動き出すかのような錯覚がした。いや、津田の視点を共有することで、実際に、ぼくの中でこの島の存在は動き始めていた。
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