吃音と生きる 2「治す」ために何ができるか 『新潮45』2014年7月号
「彼とはそれきりでした。そして去年の年末、突然奥さんから電話があったんです。『主人が亡くなりました』って……。吃音から鬱病になって、とのことでした。彼とは、夜遅くに病院の時間が終わった後に訓練をしたりと、いろんな思い出がありました。『電話で、言えなかったことが言えて、受話器を置いた瞬間に涙が出てきた』って手紙をくれたこともありました……。彼が望んでいたのはきっと、”普通に”話し、”普通に”名前が言えること、ただそれだけなんです。そんな極々ささやかな望みをかなえるために、一緒になってもがくことがぼくの仕事だと思っています」
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