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静岡県高等学校図書館研究会 講演「本嫌いだった私がなぜ、本を書く道を選んだか ー旅、科学、吃音に導かれてー」

8月20日、静岡県の複数の高校が合同で開催している「静岡県高等学校図書館研究会」に呼んでいただき、講演しました。タイトルは、
「本嫌いだった私がなぜ、本を書く道を選んだか ー旅、科学、吃音に導かれてー」

まさにその通り、本嫌いだった自分がなぜいま、文章を書き、本を書くことを仕事にしているんだろう、ということを振り返りながら、書くことについての自分のこれまでの経験や、本について、書くことについて、思うことを話しました。

2時間の最後にお話ししたのは、「自分はなぜ書くのかがわからない」ということ。なぜ書くのか。具体的な理由はいろいろあるけれど、でも、「自分はなぜ書いているのだろう」とよく思うし、書くことは苦しいと思う時が多い。その一方、書きたいという気持ちも募る。そんなことを考えると、「わからない」というのが一番しっくりくる気がしています。

ただ、「わからない」という気持ちと向き合うことは、本を読むことや書くことと相性がいいとも感じます。本は本質的にわかりにくいものであり、わからないから、読む側に考える余地を与えてくれる。それが本や文章の魅力なのかな、などと考える機会になりました。ぼくは、わからないまま書いてるけど、わからないから書いてるのかも、とも思います。

ご参加くださった皆様、どうもありがとうございました。

※講演の中では、自分の過去のことを話す中で、その時期その時期に読んだ本の中で印象的だったり影響を受けたものを紹介しました。その一覧を、記録まで。

(中学時代)
『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎、岩波文庫)
『心に太陽を持て』(山本有三、新潮文庫)

(大学時代)
『宇宙からの帰還』(立花隆、中公文庫)
『科学革命の構造』(トーマス・クーン、みすず書房)
『罪と罰』(ドストエフスキー、新潮文庫)
『一瞬の夏』(沢木耕太郎、新潮文庫)
『沈黙』(遠藤周作、新潮文庫)
『夜と霧』(V.E.フランクル、みすず書房)
『深夜特急』(沢木耕太郎、新潮文庫)

(「教科書」的に旅に持っていった本)
『彼らの流儀』(沢木耕太郎、新潮文庫)
『人の砂漠』(沢木耕太郎、新潮文庫)
『敗れざる者たち』(沢木耕太郎、文春文庫)
『紙のライオン』(沢木耕太郎、文春文庫)

(旅中に出会って読んだ本)
『ノルウェイの森』(村上春樹、講談社文庫)
『流星ワゴン』(重松清、講談社文庫)
『アンダーグラウンド』(村上春樹、講談社文庫)
『心臓を貫かれて』(マイケル・ギルモア、文春文庫)
“Timbuktu”(Paul Auster, Faber & Faber)

(いつかこんな本が書きたいという本)
『フェルマーの最終定理』(サイモン・シン、新潮文庫)